和紙・壁紙
オガファーザー
オガファーザーとは、再生紙と木のくず(おがくず)を混ぜて作られた、ドイツ生まれの呼吸する壁紙のことです。化学物質をほとんど使わず、天然の素材で作られているため、ビニールクロスとは異なり、室内の湿気を吸ったり吐いたりして、快適な環境を保つのを助けてくれます。見た目は少しざらざらとしていて、塗り壁のような自然な風合いが特徴で、上から水性の塗料を塗ることで、簡単に色を変えることができます。
メリット
- 天然素材が主成分のため、シックハウス症候群の原因となる化学物質の心配が少ないです。
- 調湿性があり、夏は湿気を吸い、冬は乾燥を防ぎ、室内の空気を快適に保つのに役立ちます。
- 何度も上から塗装できるため、汚れや傷がついても塗り直して、簡単に部屋の雰囲気を変えられます。
- ビニールクロスと比べて丈夫で、長持ちするため、将来的なゴミの削減にもつながります。
デメリット
- ざらざらとした表面のテクスチャが、好みが分かれることがあります。
- ビニールクロスに比べると、施工の手間と時間がかかり、職人の技術が必要になります。
- 色を付ける際は塗料を使うため、塗料の種類によっては費用が高くなることがあります。
- 完全に平らでツルツルとした壁面を求める場合には向いていません。
主な用途
- 戸建て住宅やマンションの全室の壁・天井仕上げ。
- アレルギーや健康に配慮したい場所、特に寝室や子供部屋。
- 自然素材を使った内装や、木の温もりを活かしたデザインの建物。
施工費用の目安
- 一般的なビニールクロスよりも材料費と施工費がやや高くなる傾向があります。
- グレードや使用する塗料の種類によって価格が大きく変動します。
- 塗り替えを自分で行うことも可能で、ランニングコストを抑えることができます。
ルナファーザー
ルナファーザーは、オガファーザーと同じくドイツで生まれた紙の壁紙で、再生紙にウッドチップ(木片)を混ぜ込んで作られています。オガファーザーと基本的な性能は似ていますが、こちらはウッドチップの大きさや形状を変えることで、豊富な種類のテクスチャ(表面の模様)が作られているのが特徴です。調湿性や通気性に優れ、室内の空気を快適に保つ働きがあり、化学物質の使用も少ないため、健康に配慮した住宅によく選ばれます。こちらも水性塗料で好きな色に塗り替えが可能です。
メリット
- 様々なサイズのウッドチップによる、立体感のある豊富なデザインから選ぶことができます。
- 通気性・調湿性が高く、結露やカビの発生を抑える効果が期待できます。
- 紙の層が厚いため、下地の小さなひび割れや凹凸を目立ちにくくする効果があります。
- 汚れたり飽きたりしても、上から塗料を塗り重ねることで、手軽にメンテナンスやリフォームができます。
デメリット
- 施工時に糊(のり)と塗料を両方使うため、ビニールクロスよりも工期が長くなりがちです。
- 表面に凹凸があるため、ほこりが溜まりやすいと感じる人もいます。
- 水性塗料仕上げのため、水に濡れるとシミになりやすい場合があります。
- 塗装工程で乾燥時間が必要なため、工期に余裕を持たせる必要があります。
主な用途
- 木の家や自然派住宅の内装壁・天井。
- 特に調湿効果を期待したい、日当たりの悪い部屋や湿気の多い場所。
- デザイン性の高いテクスチャを活かした、リビングや店舗の内装。
施工費用の目安
- オガファーザーと同様に、一般的なビニールクロスよりは高めの設定になります。
- 選ぶテクスチャの種類(ウッドチップの量)や、塗料の品質によって価格が変わります。
- 長期的に見ると、張り替え回数が減るため、コストパフォーマンスが高いと考えることもできます。
和紙仕上げ(わししあげ)
和紙仕上げとは、日本の伝統的な素材である「和紙」を壁や天井の仕上げ材として使う方法です。和紙は楮(こうぞ)や三椏(みつまた)といった天然の植物繊維を原料にしており、昔から障子や襖などに使われてきました。和紙をそのまま、または特殊な加工をして壁紙のように貼り付けることで、その繊維が持つ独特の優しい光の透け方や、日本の風土に合った優れた調湿性を活かします。職人の手仕事による温かい風合いと、時間の経過とともに増す美しさが魅力の仕上げです。
メリット
- 光を柔らかく拡散し、部屋全体を優しい雰囲気にしてくれる独特の美しさがあります。
- 高い調湿性があり、日本の気候で快適な室内環境を保つのにとても適しています。
- 天然素材のため、ビニールクロスとは異なり、静電気が起きにくく、ほこりが付きにくい性質があります。
- 年月が経つにつれて色が変化し、味わい深くなる経年変化を楽しめます。
デメリット
- 非常にデリケートな素材のため、水や油汚れに弱く、一度汚れると修復が難しい場合があります。
- 湿度や乾燥の繰り返しで、紙がわずかに伸縮し、継ぎ目が目立ってしまうことがあります。
- 和紙の製造から施工まで、手間がかかるため、他の仕上げ材よりも費用が高くなることが多いです。
- 職人の高い技術が仕上がりに大きく影響するため、信頼できる専門家に依頼する必要があります。
主な用途
- 和室の壁・天井の伝統的な仕上げ。
- 書斎や茶室など、落ち着いた雰囲気を重視したい空間。
- 国産木材や漆喰といった自然素材をふんだんに使った、こだわりの住宅。
施工費用の目安
- 材料となる和紙が希少なものや手漉き(てすき)のものだと、特に高額になります。
- 一般的なクロスよりも、施工単価は高くなるケースがほとんどです。
- 下地の処理や、貼り付けを行う職人さんの熟練度によって費用が変わります。
和紙・壁紙
オスモカラー
オスモカラーは、植物油と植物ワックスを主成分として作られているドイツ生まれの塗料です。木の内部に染み込み、表面には薄い塗膜(保護膜)を作ることで、木の呼吸を妨げず、木材本来の質感や肌触りを活かせます。水や汚れに強く、手入れがしやすいのが特徴で、床や家具、外壁など、幅広く使用されています。塗り直しをする際も、既存の塗膜を剥がさずに重ね塗りできるため、メンテナンスが非常に楽です。
メリット
- 木の呼吸を妨げず、木材本来の自然な風合いを保てます。
- 耐水性・耐摩耗性に優れており、水拭きや日常の掃除がしやすいです。
- 塗り直し(メンテナンス)の際に、古い塗膜を剥がす必要がありません。
- 人体への安全性が高く、子供のおもちゃや家具にも安心して使えます。
デメリット
- 他の塗料と比較して、初期の導入コストがやや高めになることがあります。
- ウレタン塗料などと比べると、光沢感のある仕上がりにはなりません。
- 塗りすぎると乾きにくくなったり、ベタつきが残ったりすることがあります。
- 色によっては日光(紫外線)による退色が見られることがあります。
用途
- 木製の床、フローリング(特に無垢材の床)。
- 内壁、天井、建具などの内装全般。
- 木製家具や、小さなお子様が使うおもちゃ。
- ウッドデッキ、外壁などの屋外木部(専用品を使用)。
施工費用(目安)
- 材料費は1平方メートルあたり約1,000円〜2,000円程度。
- 施工費は、塗る面積や下地の状態により大きく変動します。
- 施主様ご自身で塗る(DIY)場合は、人件費を抑えられます。
リボス
リボスは、亜麻仁油(あまにゆ)などの自然素材をベースに作られた、ドイツの自然塗料のブランドです。原料のほとんどが再生可能な天然資源からできており、人や環境への安全性を最優先に考えて作られています。木の呼吸を妨げずに、木材の奥深くに浸透して保護する「浸透性塗料」です。木の持つ美しさを引き出し、しっとりとした手触りに仕上がるのが特徴で、主に内装の床材や家具に使われています。
メリット
- 厳選された天然原料のみで作られ、健康に配慮した安全性の高い塗料です。
- 木の内部に深く浸透して保護するため、木の風合いや肌触りがそのまま活かされます。
- 帯電しにくい性質があり、静電気が起きにくくホコリがつきにくいです。
- 色展開が豊富で、木の素材に合わせてさまざまな色合いを楽しめます。
デメリット
- 化学塗料と比べると、乾燥に時間がかかる場合があります。
- 強い塗膜を作らないため、熱いものを置くと輪染みが残りやすいです。
- 塗装直後は原料特有の匂いがすることがありますが、乾燥とともに消えます。
- 色の濃い塗料を塗る場合、刷毛の跡が目立たないよう、職人の技量が求められます。
用途
- 無垢材を使用したフローリング(床)や階段。
- 木製のドアや窓枠などの建具。
- テーブルや椅子、棚などの木製家具。
- 健康住宅や幼稚園、病院などの施設。
施工費用(目安)
- 材料費は1平方メートルあたり約1,200円〜2,500円程度。
- 塗装回数や木材の種類によって、必要な塗料の量が変わります。
- 広範囲にわたる床の塗装では、専門業者に依頼することが一般的です。
セラリカコーティング
セラリカコーティングは、主に米ぬかから抽出されるライスワックス(米ロウ)を主成分とした、日本生まれの自然塗料です。古くから日本で使われてきた米ロウの特性を活かしており、高い安全性と木材保護能力を両立させています。木材に塗ると、木の表面に薄く硬い皮膜を作り、水や汚れから木材を守ります。溶剤を使わず、ほぼ100%が天然成分で構成されているため、健康志向の住宅やリフォームで特に選ばれています。
メリット
- 食品にも使われる米ぬか由来で、高い安全性が確保されています。
- 木の表面に硬いワックス層を作り、撥水性や耐汚染性を高めます。
- 塗り込むことで、木の持つ自然な艶(つや)や深みを引き出します。
- 揮発性有機化合物(VOC)を含まず、匂いがほとんどありません。
デメリット
- 塗膜の厚さや硬さは、ウレタン系の化学塗料には及びません。
- 定期的にワックスを塗り直すなど、継続的なメンテナンスが必要です。
- 他の塗料に比べて、一般のホームセンターなどでの取り扱いが少ないです。
- 液体ではなくワックス状のため、広い面積を塗るには手間がかかります。
用途
- 無垢材の床やフローリングの保護・艶出し。
- 木製のカウンターテーブルや、水回り近くの木部。
- 建具や家具、木製のキッチン用品(カッティングボードなど)。
- 和室の柱や長押(なげし)などの仕上げ。
施工費用(目安)
- 材料費は1平方メートルあたり約800円〜1,500円程度。
- ワックスがけは塗装と比べて作業時間が短く済みやすいです。
- 新築やリフォームの仕上げとして、専門の職人が施工します。
自然塗料
自然塗料とは、植物油や天然ワックス、天然の顔料など、天然の原料を主成分として作られた塗料の総称です。化学合成された樹脂や溶剤をほとんど使わず、木の呼吸を妨げずに内部から保護する「浸透性」を持つものが主流です。木材の風合いを活かしたい、室内の空気環境に配慮したい、といった場合に選ばれます。オスモカラーやリボス、日本の米ぬかワックスなどがこのカテゴリーに含まれます。安全性や環境への配慮から、近年注目が集まっています。
メリット
- 原料が天然由来であるため、人体や環境への負荷が少ないです。
- 木の調湿作用(湿気を吸ったり吐いたりする働き)を邪魔しません。
- 木の表面に塗膜を作らず、自然な質感や肌触りが楽しめます。
- 塗り直しや補修が比較的簡単で、DIYにも向いています。
デメリット
- ウレタン塗料などと比べると、耐摩耗性や耐久性はやや劣ります。
- 水や汚れに対する保護力が弱いため、定期的なメンテナンスが必要です。
- 種類によっては乾燥に時間がかかり、施工期間が長くなることがあります。
- 初期費用が化学塗料よりも高くなる傾向があります。
用途
- 無垢材のフローリング、内壁、天井などの内装。
- ベビー用品や子供部屋の家具、おもちゃ。
- ログハウスや木造住宅の外装(紫外線対策された自然塗料)。
- 古民家の再生や伝統建築の補修。
施工費用(目安)
- 使用するブランドや製品により幅がありますが、材料費は高めです。
- 化学塗料とほぼ同じか、若干高くなる程度が一般的です。
- 塗り回数が少ないことが多く、工賃が抑えられる場合もあります。
蜜蝋ワックス(みつろうワックス)
蜜蝋ワックスは、ミツバチの巣を精製して得られる蜜蝋(みつろう)と、植物油(亜麻仁油、えごま油など)を混ぜて作られる、非常に古くから使われているワックスです。木材に塗り込むことで、撥水性を高め、汚れから保護しながら、自然な艶と深みを与えます。原料がシンプルで高い安全性を持ち、匂いも少ないため、DIYで木製品のメンテナンスを行う際にも人気があります。日本の伝統建築でも、古くから木材の保護に使われてきました。
メリット
- 天然素材100%で作られているものが多く、人体に非常に安全です。
- 木の表面に薄い膜を作り、手触りを良くし、水や汚れを弾きます。
- 使い込むほどに自然な光沢(艶)が増し、深みのある色合いに育ちます。
- メンテナンスが簡単で、誰でも手軽に塗り直しができます。
デメリット
- 非常に硬い塗膜を作らないため、頻繁に水がかかる場所には向きません。
- 半年から1年に一度など、定期的な塗り直しが必要になります。
- 夏場など気温が高いと柔らかくなり、ホコリがつきやすくなることがあります。
- 広い面積に塗る場合は、ワックスを伸ばすのに手間と時間がかかります。
用途
- 無垢材のフローリングや、木製の壁、カウンター。
- 伝統的な和室の柱や長押(なげし)の仕上げ。
- 木製の家具(テーブル、椅子、食器棚など)や工芸品。
- 革製品や金属製品の保護にも使われることがあります。
施工費用(目安)
- 材料費は製品のグレードによりますが、比較的安価なものもあります。
- DIYで施工されることが多いため、プロの施工費用は不要な場合が多いです。
- プロに依頼する場合、床のワックスがけとして施工費が発生します。
柿渋(かきしぶ)
柿渋は、渋柿の未熟な実を絞って発酵・熟成させて作られる、昔ながらの天然の塗料です。日本の伝統建築や木工品に古くから使われてきました。タンニンという成分を豊富に含んでおり、これを木材に塗ることで、防腐(腐りにくくする)、防虫、防水の効果が得られます。塗った直後は独特の匂いと黄緑色をしていますが、乾燥し、日光に当たることで茶褐色に変化し、時間が経つほどに色に深みが増していきます。
メリット
- 高い防腐・防虫効果があり、木材を長期間保護できます。
- 自然素材100%であり、非常に高い安全性を誇ります。
- 木材の耐久性を高め、経年変化(時間の経過による変化)を楽しめます。
- 古くからある素材のため、伝統建築や和風建築との相性が抜群です。
デメリット
- 塗った直後の数日間は、柿渋特有の強い匂いがあります。
- 日光に当たることで色が変化するため、色の仕上がりを予測しにくいことがあります。
- 耐候性(天候に対する強さ)はありますが、紫外線による退色は起こります。
- 塗膜を作らないため、傷や汚れの付きやすさは残ります。
用途
- 外部の木部(軒天、破風板、ウッドデッキなど)の防腐・防水。
- 和風建築の柱や内壁、天井材の仕上げ。
- 木製家具、竹細工、和紙などの染色や補強。
- 古民家再生における伝統的な木材の保護。
施工費用(目安)
- 材料自体は比較的安価で、塗料の中でも手に入りやすいです。
- 複数回塗り重ねる必要があり、その分の工賃が発生します。
- 施工は刷毛やローラーで行い、専門的な技術が求められる場面もあります。
漆(うるし)
漆は、ウルシの木から採取される樹液を精製した、天然の塗料です。日本や東アジアで古くから使われてきた、最も古い塗料の一つです。木材に塗って固まると、非常に強固で美しい塗膜を作り、耐水性、耐久性、防腐性、断熱性に優れた性能を発揮します。乾くには適切な温度と湿度が必要ですが、一度固まると簡単には剥がれません。高価で高度な技術が必要ですが、その仕上がりは格調高く、美術品や高級品にも使われます。
メリット
- 一度硬化すると、酸やアルカリにも強い極めて強固な塗膜になります。
- 優れた耐水性、防腐・防虫効果があり、木材を長期間守ります。
- 使い込むほどに色艶が増し、独特の美しい光沢(艶)が出ます。
- 抗菌作用があり、食器などにも安心して使用できます。
デメリット
- 適切な湿度と温度がないと硬化せず、乾燥に非常に手間がかかります。
- ウルシの木の樹液のため、触れるとかぶれる(皮膚炎を起こす)ことがあります。
- 材料費が高価であり、職人の高度な技術が必要なため、施工費用も高くなります。
- 紫外線に弱く、長期間日光に当たると塗膜が劣化します。
用途
- 伝統建築の寺社仏閣、高級な内装材の仕上げ。
- 漆器(お椀やお重など)や美術工芸品の塗装。
- 高級な家具や調度品の表面保護と装飾。
- 竹や木材でできた茶道具や仏具など。
施工費用(目安)
- 材料費・施工費ともに、塗料の中では最も高額になる傾向があります。
- 特に、何層も塗り重ねる伝統的な技法(漆塗り)は非常に手間と時間がかかります。
- 専門の漆職人に依頼する必要があり、人件費が高くなります。
胡粉(ごふん)
胡粉は、貝殻(主にカキやホタテ)を焼いて細かく砕き、水にさらして不純物を取り除いた、白色の天然の顔料です。日本の伝統的な絵画(日本画)や、人形の顔を塗るための顔料として古くから使われてきました。また、古民家などの内壁や土壁を白く仕上げるための塗料としても使用されます。石灰に似ていますが、胡粉の方が粒子が細かく、優しく柔らかな白さと、高い透明感や吸湿性を持っているのが特徴です。
メリット
- 自然素材由来の顔料であり、環境や人体への影響が少ないです。
- 白の中でも特に柔らかく、美しい、独特の「胡粉の白」を表現できます。
- 高い吸湿性があり、壁などに塗ると室内の湿度を調整する効果があります。
- 古来より使われてきたため、伝統建築や和風の空間に馴染みます。
デメリット
- 塗料として使う場合、膠(にかわ)などで固着させる手間が必要です。
- 耐水性や耐摩耗性が低く、水がかかる場所や強く擦れる場所には向きません。
- 完全に均一な色合いを出すには、熟練の職人の技術が求められます。
- 顔料自体は安価ですが、施工の手間や技術料が加算されます。
用途
- 日本画や、雛人形・五月人形の顔料。
- 土壁や漆喰壁などの内壁の白塗り。
- 仏像や神社の建築物などの白色の着色。
- 古民家の内装における、優しい質感の壁の仕上げ。
施工費用(目安)
- 材料費は安価ですが、顔料を塗料として使用する際の準備に手間がかかります。
- 壁に塗る場合は、左官職人や塗装職人の手間賃が必要です。
- 一般的な化学塗料よりも工期が長くなる可能性があります。
天然顔料(てんねんがんりょう)
天然顔料とは、土(粘土)から採れる鉱物(ミネラル)や、植物・貝殻など、自然界にあるものを原料として作られた色の粉のことです。例えば、土に含まれる鉄分によってできる「黄土(おうど)」や「弁柄(べんがら)」、植物由来の「藍(あい)」などがあります。これらを油や水、膠(にかわ)などと混ぜて塗料として使用します。合成顔料と比べて、落ち着いた深みのある色合いが特徴で、環境や人体への安全性が高いです。
メリット
- 自然界にある素材なので、環境負荷が低く、人体に優しいです。
- 化学顔料にはない、奥深く落ち着いた自然な色合いが出せます。
- 耐久性が高く、特に土由来の顔料は紫外線に強いものが多いです。
- 古来の建築物や工芸品の復元・補修にも適しています。
デメリット
- 色によっては非常に高価になることがあります。
- 鮮やかな色や光沢のある色を出すのが難しい場合があります。
- 塗料として使う際、顔料を混ぜ合わせる手間と技術が必要です。
- 採掘量や収穫量が限られるため、安定供給が難しい色もあります。
用途
- 土壁や漆喰壁の着色、特に日本の伝統的な建築の内装。
- 木材に塗る自然塗料の色付け(弁柄、黄土など)。
- 日本画や、文化財の修復・復元。
- 陶芸や工芸品など、幅広く使われています。
施工費用(目安)
- 顔料自体の価格は色によって大きく異なります(稀少な色は高価)。
- 塗料化する作業(練り合わせる)に手間がかかるため、施工費は高めになります。
- 専門の職人による調色・施工が必要な場合が多いです。
貝里(かいずり)
貝里は、胡粉(ごふん)と同じく貝殻を主原料とする塗料や顔料の一つです。特に牡蠣(カキ)の貝殻を焼いて作った粉をベースに、漆喰(しっくい)や土壁の材料に混ぜて使われます。胡粉が日本画などに使われる粒子が細かい顔料であるのに対し、貝里は主に建材(壁材)として使われることが多く、古くから日本の土蔵や城郭建築、古民家などの漆喰壁の材料として利用されてきました。耐久性や調湿性に優れているのが特徴です。
メリット
- 主原料が貝殻なので、自然素材で環境への負荷が少ないです。
- 漆喰の材料に混ぜることで、壁の強度や耐久性を高めます。
- 高い調湿効果があり、室内の湿度を快適に保つ働きがあります。
- 古来からの工法に使われており、伝統建築との相性が良いです。
デメリット
- 施工の際に専門的な左官技術が必要で、DIYには向きません。
- 乾燥に時間がかかるため、工期が長くなることがあります。
- 他の化学系壁材と比べると、コストが高くなる傾向があります。
- 原材料の貝殻の品質によって、仕上がりに差が出ることがあります。
用途
- 漆喰壁や土壁の材料(特に白色の仕上げ材)。
- 城郭や寺社仏閣など、伝統的な建物の壁の補修。
- 古民家再生における、調湿性能を重視した内装壁。
- 土蔵(どぞう)の外壁や内壁。
施工費用(目安)
- 漆喰材料の一部として使われるため、壁全体の施工費に含まれます。
- 左官職人の手間賃が高く、費用は一般的なクロス貼りの数倍になることがあります。
- 施工面積や壁の状態により費用は大きく変動します。